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空に光はなく、私が願う望みも無い。
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2024.11.22 21:14
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失った日々の。
2007.12.22 22:26
父親と、母親と、その間に立つ子供。
仲睦まじく手を繋いで歩く姿が、とても羨ましくて。
思わず去っていく後姿を、じっと見つめてしまった。
「どうした?」
更に後ろから声をかけられて、はっと振り向いた。
年齢以上に大人びた顔立ちをした少年が、少女を青い瞳でじっと見ていた。
少年の瞳よりも深い色合いのそれで見つめ返した後、少女は何でもないと首を横に振った。
少女は聡明だったのだ。不可能な事を言っても、彼を困らせるだけだとわかるくらいに。
その様子に少年は表情を変えずに『そうか』と返した。言葉とほぼ同じくらいに、彼の体が動く。
「ひゃ……」
無駄なく鍛えられた腕が、ひょいと少女を抱え上げた。
一瞬重くないだろうか、と少女は考えたが、少年は変わらず無表情だ。
『帰るぞ』と短く言われたので、『うん』と小さく返した。
『ありがとう』とほんの小さな声で呟いた少女に、少年は何も返さなかった。
ただ、少女を抱えた腕に少し力を入れた。
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