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『頼むから黙って、ただ愛させてくれ』

by John Donne
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空に光はなく、私が願う望みも無い。
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不寝番。 2007.12.15 23:13
「この戦いが終わったら、どこかの田舎にでも暫く腰を落ち着けないかい?」
 体のほとんどを濃い色の布で覆った忍者の男が、横に立つ竜騎士の女に声をかけた。戦闘中上げられる顔面鎧は今は下ろされ、秀麗な美貌を外気に晒している。
「唐突だな」
 言葉の割に表情は全く変えずに女が返す。男が顔布を外して小さく笑った。
「あはは。でも前から考えてはいたんだよ。まあ、今の仲間との旅も、楽しいから好きなんだけどね」
「私も別に、嫌いじゃない」
「ハル君達と旅を始めてから色々あったしねぇ。色々っていうか、どれも割と無茶苦茶だったけど」
「一番冷静に戦略を立てるのはあいつだが、一番無茶な戦略を立てるのもあいつだからな」
「言えてる」
 言って、パーティーのリーダーとも言える白魔道士の青年を思い浮かべる。今は、相棒の格闘家の青年と、もう一人のパーティーの仲間であるアイテム士の少女、それと、彼らの雇い主たち一行と一緒に仮眠をとっている。
 酷く繊細なように見えるかの青年は、その儚げな容貌とは相反して実はかなり過激なところがある。戦闘前にラバーシューズを履かされて、戦闘開始と同時に問答無用で算術でサンダガを放たれた時には、流石の彼も驚いた。相棒の女性も、珍しく驚きを表情に表していたくらいだ。
 その時の事がありありと思い出されて、男は再びくすりと小さく笑みを浮かべた。
「僕が竪琴を弾いて、君がそれに合わせて踊って、それで暫くは生計を立てられると思うんだけどな」
「……悪くはない。が」
 女性の言わんとすることは多分、自分の考えていることと同じだろうと思い、男はもう一度声を立てず笑った。
「退屈な生活だ。3日で飽きるだろうな」
「あはは。だよねぇ」
 そろそろ、不寝番も交代の時間だ。
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